株式会社アイエスエイプラン 執行役員 HR & Strategy
坂爪 昭
アイエスエイプランで働くうえでなぜリーダーシップが必要か?
「アイエスエイプランという会社でよく耳にする言葉って何だと思いますか?」という質問をされた際にはどんな回答が返ってくると思いますか。そこには「リーダーシップ(Leadership)」という言葉が上位ベスト3に入ってくると思っています。
しかし、面倒なことにこの「リーダーシップ」というものは概念であり、具体的に実在するものでもありません。そのためによく聞く言葉であるにも関わらず、なかなか感得しにくいものだったりもします。
このような困りごともあるので、今回はこの「リーダーシップ」というものをジョン.P.コッター(John Paul Kotter)の『リーダーシップ論』を元にしてアイエスエイプランで働くうえでなぜ必要なのかを考えていきたいと思います。(※1)
コッターのリーダーシップ論(Kotter’s Leadership Theory)とは
ハーバード・ビジネス・スクールのジョン.P.コッターは1988年にリーダー/マネジャーに求められる機能として「リーダーシップ」と「マネジメント」という2つの要素があり、これらには明確な違いがあることを発表しました。
コッターは「リーダーシップ」を「人と組織を動かし変革を推し進める機能」として定義し、集団を導いて新たなルールや仕組みをつくっていく際に利用することができるものと提唱しました。不確実性の高い状況においてリーダーシップは活躍しやすく、長期的なビジョンを提示することでメンバーをまとめたり、メンバーの動機づけを行っていく行為だと示しました。
その一方でコッターは「マネジメント」というものを「定められた戦略やルールに基づき、効率的に組織を運営する機能」として定義し、一旦決めたことをきちんと回していく行為であることとしました。短期的な計画や予算の立案、組織構造の設計や人員配置、予算や実績管理を行い、メンバーとのコミュニケーション行いながら問題解決を行っていく行為だと示しました。
リーダーシップとマネジメントの使い分け
上記の定義を見ると、「どちらかを利用して業務を行う」とか「どちらの派閥に属するのか」というかたちに見えてしまいますが、大切なことは「リーダーシップ」と「マネジメント」を目的や状況に応じて使い分けていくことだったりします。
それでは、リーダー/マネジャーにその両要素の使い分けが求められるとするならば、どのように使い分けていけばよいということなのでしょうか。
新しい挑戦や不確実性が高いなかでリーダー/マネジャーを行うときにはその役割として、比較的長期なビジョンを描き、メンバーたちに共有してメンバーたちのヤル気を起こさせることが有効になります。すると、リーダーシップを発揮しながら人や組織を動かして、試行錯誤しながら変革を推進し、戦略やルールを作っていく方法になります。
一方で、定常業務で確実性が重視されるでリーダー/マネジャーを行う時には、その役割として、計画を立てて、メンバーの活動をある程度管理しながら業務を進めるほうが効率が高くなります。そのため、運営という要素が強くなり、マネジメントを利用して人や組織を管理していくことになります。
SL理論におけるリーダーシップとマネジメント
みなさんがよく目にするケン・ブランチャード他のSL理論(Situational Leadership Theory)のマトリクスを利用しても、リーダーシップとマネジメントを考えることができます。
SL理論ではいわゆる部下の習熟度が低い場合には、「S1:指示型」から始まり、習熟度があがるにつれて「S2:コーチ型」「S3:支援型」「S4:委任型」と象限が変化していき、「援助的行動」と「指示的行動」との按分率が変化していきます。
この「援助的行動」と「指示的行動」を今回のコッターの「リーダーシップ論」で置き換えると「リーダーシップ」と「マネジメント」で説明することができ、いわゆる部下の習熟度が低いほどマネジメント機能を重要視する必要があり、習熟度が高いほどリーダーシップ機能が重要視されていると言うことができます。
この方がしっくりきた感がありますね。
※SL理論ってなんだっけ?という人はコッソリここに戻りましょう。
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これらを踏まえてリーダーシップの必要性を再考してみる
みなさんが行っている業務は不確実性の高いものが多いでしょうか、それとも確実性の高いものが多いでしょうか。たぶんアイエスエイプランという会社が実施している業務は基本的に不確実性の高いものが多く、1ヶ月先の進捗なども見えにくいものが多いと思います。
だからこそ「リーダーシップ」機能を重要視する方針が大切なのかもしれませんね。
もちろん「リーダーシップ」と「マネジメント」のどちらか一方が大切ということもありませんが、「今の状況下ではどのような機能が必要なのか」を考えられることが、最適なリーダーシップを発揮する第一歩になるのでしょうね。