株式会社アイエスエイプラン 執行役員 HRM & Strategy CIO
坂爪 昭
入社おめでとうございます
新入社員の皆さん、ご入社おめでとうございます。
先日、「ほぼ日刊イトイ新聞」※1でお馴染みの糸井重里さんの勉強会にて、「楽しく仕事をするためにはどうしたらよいか?」ということが議題になり、楽しく仕事をするためには「リスクを背負って知識・経験を増やすことが重要!」ということで、「心の身銭を切れ!」というオチが付きました。
これは、ただ単に「お金を払え」の「身銭を切る」という意味ではなく、<利益の対称性>が重要であるということらしいです。人はきちんとリスクを背負うことで、対称として存在する利益を得ようとし、対面するモノ・コトに向き合う姿勢が積極的になるようです。
そこで、今回はNassim Nicholas Taleb(2018)『Skin in the Game(日本語訳:身銭を切れ)』※2 を元にして、これからの社会人生活で成功への道を歩むために大切な考え方の一つとしての「身銭を切れ」という考え方をお伝えしたいと思います。
※1ほぼ日刊イトイ新聞 https://www.1101.com/
※2 Nassim Nicholas Taleb(2018) 『Skin in the Game: Hidden Asymmetries in Daily Life』(Penguin Random House)
日本語版はこちら
ナシーム・ニコラス・タレブ(2019)『身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質』( ダイヤモンド社)
そもそも「身銭を切る」とは何か?
Taleb(2018)は「身銭を切る」を「自分の決断や行動に対して実際に責任を持ち、リスクを負うこと」と定義しています。例えば、新しいプロジェクトに挑戦するとき、失敗を恐れずに積極的に関わることが大切であるとTalebは唱え、また、単に業務時間内に仕事をこなすだけでなく、プライベートの時間にも仕事のことを考え、自らの成長に投資する姿勢も「身銭を切る」行為の一つとも定義しています。
近年では生産性向上や業務効率化などが強く叫ばれるなかで、仕事に関わる時間が極端に少なくなっているがために、自分自身のスキルを向上させる機会も減少しているとも言われています。
そんな現状の中でTalebの「身銭を切る」は、自己の成長の機会を増やすことに役立つこととも考えられます。
リスクを取ることで得られるもの
Talebは社会人が成長するためには、失敗を恐れずに挑戦することが重要だと考えています。
その段階としては以下のようになっています。
Step.1 実際に経験することで学びが深まる
Step.2 自らの決断に責任を持つことで、より良い選択をするようになる
Step.3 リスクを取る人は、結果を真に理解し、成長する機会を得られる
成功する人は、安全な道ばかりを選ぶのではなく、リスクを受け入れながら前進しているようです。そこには自分の選択に責任を伴わせることで、成功しても失敗しても、モノ・コトに対する積極性を得ることで自分自身への学びを大きくし、成長する機会へと昇華させていけるようになるようです。
皆さんは、自らの成長のために上記の段階を踏みながら挑戦を続けることができるでしょうか。
「偽の専門家」と「本物の専門家」
Talebは社会において、知識や経験が豊富に見える人が必ずしも信頼できるわけではないと疑問を投げかけています。専門家にもIF文プログラムと同じでTure or Falseがあるようです。
偽の専門家: 理論だけを語り、実際に自分の言葉に責任を持たない人
本物の専門家:実際に行動し、成功も失敗も経験している人
これからプロフェッショナルとして働く皆さんには「専門家」になってほしいと思っています。みなさんの仕事はITにおける専門職なので、特に「専門性の高い専門家」になって欲しいと思っています。その際に、ぜひ「本物の専門家」として、自らの経験を積み重ね、信頼される存在になってほしいと思っています。
まとめ
皆さんの社会人生活は、これから本格的に始まります。
そして、Talebの提唱するこの「身銭を切る」は、社会人生活の中で「キャリア、チームワーク、学び、時間活用・・・」と仕事のあらゆる場面に利用することができます。ぜひこの「身銭を切る」という考え方を頭の片隅に置いて、リスクを恐れずに自己投資をする社会人になって欲しいところです。
これからの皆さんの活躍を楽しみにしています。
一緒に頑張りましょう!