自チームのKPI設定
自分たちが与えられたミッションは、弊社に蓄積された大規模基幹システムの開発知識をもとにして、既存の情報システム部門の問題点を洗い出し、改善を行うことでした。
そのため、私たちがプロジェクトに参入して、先ず行ったことは、クライアントに対するKPI(Key Performance Indicators, 重要業績評価指標)の設定でした。KPIには、自分たちが任せられたシステムの運用作業に約820時間/月を要していたものを、6ヶ月後に400時間/月まで落とすことを設定し、更には開発時の再発未然防止策までを提供することを、クライアントと約束しました。
クライアント課題の分析
ここからが自分たちのキックオフです。現状の認識のために、どのようなシステムにどのような不具合が発生し、それに対してどのくらい時間を費やしているのかを分析します。その分析結果をクライアントに提示し、一番のガンとなるシステムの改善を提案します。
自分たちが一番初めに目をつけたのが、常時データが多数の基幹システムより送信されてくる進捗管理システムのデータベースをデッドロックするバッチ処理でした。この対処作業に40時間/月を費やしていることに目を付けて、改善をするにはどのようにすればよいかを考えました。
費用対効果に重きをおいた提案
この際の提案のポイントとして、改善作業に対するクライアントの費用対効果を加味することです。
弊社の大切としていることは「クライアントの課題を解決する」ですので、費用をかけて自分たちの利益とすることはいくらでもできますが、ITというドメインにおいてクライアントへの最大の費用対効果にて提案することを弊社のミッションとしておりますので、その通りに提案します。
もし設計書が存在しないシステムとなっている場合には、プログラムソースから設計書を作成するリバースエンジニアリングを提案し、どの工程にてどのようなドキュメントがあれば、今後のシステム開発や運用にどのくらい役立つかを提供します。
システム開発を行わず、エンドユーザへのオペレーション説明の資料提供だけで解決ができるならば、オペレーションマニュアルの作成と現地に赴いてのシステムの使い方の説明を行います。
重大インシデント発生時に発生からの対応が戸惑うことで無用な時間と被害が発生している場合には、先ずはアクション会議を行い、対応者の役割を決めることから重大インシデントに立ち向かうことから提案します。
もちろんシステム改修によって、最大の費用対効果が望まれるようでしたら、システム改修を提案します。
この際にも、そもそもどのような開発工程にてどのような観点が足りなかったために、不具合が発生するようになったかを説明させていただき、その対応策まで提案させていただきます。
結果・効果とその後…
結果クライアントは、私たちの提案からシステム改修を選びました。さっそく、改善に取り掛かりることで、不具合による保守対応時間は削減されます。
こちらの方針で6ヶ月間繰り返し行っていった結果、定義したKPIの1.2倍ほどの値である300時間/月まで保守時間の削減を行うことができ、クライアントの運用作業工数削減の課題を解決することができたのです。
後日談
この活動を行っていると、しばしば「この改善活動って自分の仕事を減らしていることになりませんか?」という質問を受けます。
確かに一時的には、自分が行う作業が減っていることかもしれませんが、クライアントが自己の課題を解決してくれるシステム開発をしてくれる会社を逃すはずがありません。
このクライアントからは、これを機に弊社への発注量は増え続けているのです。