これからのアイエスエイプランを考える③「チームではたらくとはどんなことか」

  • 2021.11.22
  • sakazume

株式会社アイエスエイプラン 執行役員 HR & Strategy
坂爪 昭

仕事がうまく回らないときにどんなことをしていますか?

アイエスエイプランではプロジェクトチームで働くことを推奨する文化とビジネスモデルだと思っています。そこで、プロジェクトチームで働きながら、仕事がうまく回らないときに以下のようなことをよく耳にすると思いますが、先ずはじめに実施すべき大切なことはどちらでしょうか?

1.一人あたりの業務負荷を減らすためにプロジェクトにメンバーを増員する
2.業務効率を上げるために個人面談を行う

正解は・・・
「3.プロジェクトメンバーに共通の目標を設定し、メンバーに納得してもらう」でした。集団が「チーム」として機能するためには、まず所属するメンバー自身に「チーム」としての目標を納得してもらうことが大切なのです。

「チームではたらく」とはそもそも何か?

ブルース・ウェイン・タックマンという人が1965年にチームではたらくことの発達段階を記した「タックマンモデル」(※1)というものがあります。これは「チームではたらく」ということを分かりやすく示しているので、これを参考にして考えることとします。

(※1) Tuckman, Bruce W. (1965) ‘Developmental sequence in small groups’, Psychological Bulletin, 63

「チーム」と似た意味の言葉に「集団」というものがあります。2つのことばの意味はとても似ていますが、「チームではたらく」と「集団ではたらく」との意味には大きな差異があります。これを先ずは確認していきましょう。

タックマンは「集団」も「チーム」もどちらも複数のメンバーから構成されていることを前提としています。そのうえで、「集団」とは、属するメンバーが自分自身の仕事の責任のみを負うものとし、そのために「集団」によってもたらされる成果は人数分の成果の合計に留まるとしています。

一方で「チーム」のメンバーは、自分自身の仕事の責任とチームの活動を最大化をするための「相互責任」との両方を負うとし、目標達成のためにメンバー同士が助け合うことも役割に含むとしています。そのために「チーム」によってもたらされる成果は、メンバーひとりひとりが出す成果の合計以上の成果を期待することができます。

表1:「集団」と「チーム」の定義

タックマンモデルによる集団の発達段階

それでは「チーム」はどのように作られるのでしょうか?

集団の発達段階を5段階に分割して表した「タックマンモデル」というものがあります。
これは成果を出すチームを形成するために必要なプロセスを示したものであり、チーム形成を考えるうえでの現在のポジションを知るうえでは大変有益なものです。

①形成期(Forming)… ある目的のために複数のメンバーが集められた状態です。この段階では、メンバーがお互いのことをよく知らず、役割分担もはっきりしていません。そのためメンバーも意見を控えめにしか言わない傾向にあります。

②激動期(Storming) …集団の目標が共有され、仕事の進め方や役割分担を決めるため意見の対立が発生します。リーダーは意見の衝突を解消するために苦労することもありますが、この激動期はメンバーが互いを深く知り目標を達成に向け一致団結するにあたって、大変重要で必要不可欠なものです。

③規範形成期(Norming)…メンバー同士の関係性が強くなり、目標達成に向けてメンバーが規範をつくり、役割分担や判断基準が明確になってきます。そして、メンバー全員がそれらを理解している状態になるとチームの流儀ができるようになってきます。

④実現期(Performing)…共有された目標や役割分担、判断規準のもとで集団が機能し、メンバーが相互に助け合いながら成果を出す段階となってきます。チームとしては熟成の段階にあると言えるでしょう。

⑤終了期(Adjouring)…成果を出し目標が達成されればチームは解散となります。すると、次の目標に向けた集団が結成されることになります。

上記のプロセスのなかで、自分自身が属しているチームはどのプロセスにあるものでしょうか?自分自身のチームがどのプロセスにあるかのポジションを理解していると、その対策も自然と理解できてくるために、チームがどのプロセスにあるかを理解することが大変重要になってきます。

チームをつくるうえでのポイント

このような段階によりチームは発達していきますが、形成のためのポイントがいくつかありますので、代表的なものを紹介しておきます。

①メンバーの多様性
チームではメンバーが相互責任を負うので、あるメンバーが持っていないスキルを他のメンバーによって補うことができます。しかし、メンバーの多様性は年代や性別、国籍などの属性だけではなく、過去の経験や仕事のスタイルが異なるメンバーを集めることでも実現できるので、目立つ点だけを意識することはなく現実的に行うことが重要です。

②激動期(Storming)におけるメンバー同士の衝突を恐れない
衝突はできるだけない方がよいような気がしますが、成果を出すチームになるためには必要なプロセスであることを理解しておくことが必要です。このプロセスがないと逆に次のプロセスに発達できないことを理解しておかないといけません。

③メンバーの離脱
発達段階の途中で、チームのビジョンや目標に賛同しないメンバーが去ることもあります。
目標に賛同しないメンバーを長く留まらせないこともチームをつくっていくうえでは必要となります。メンバー全員がチームの目標に納得し、互いを補いながらはたらいてこそ、高い成果が出せることを理解しておくことも必要と言えるでしょう。

これらを踏まえてチームのあり方を再考してみる

これらの「タックマンモデル」でのプロセスを自分自身の所属するプロジェクトチームに当てはめてみるとどのようなものが見えてきたでしょうか?
チームではたらくことは、自分自身だけではつくり出せない大きな成果を創出することになります。自分たちの業務がうまく回らない際に人手を増やすことも重要ですが、安直な手段に頼らずに「チームとしての成果の創出」への方法をもう一度考え直してみることも重要だと思います。